【はじめに】
皆さんはバイオテクノロジーに手を出した
ことがあるでしょうか?
バイオテクノロジーというと試験管で
未知の生物を生み出すイメージがあるかも
知れませんが、正にそういったことも可能です。
例えば細胞融合とかも設備があればできますし
本来発芽しない種子の胚を培養することにより
属間雑種などを作出した例などもあります。
有名なのはアメリカンチェリーとプラムの
雑種であるバイオチェリーや、行者ニンニクと
ニラの交雑種である行者菜などですね。
特にネギ類では盛んに行われており今後も
注目ですね。
まぁそこまで高度なことはやりませんが
今回は細胞を培養し、植物体を培養する
茎頂培養(メリクロン)を行ってみました。
【ヴィトロプランツキットにアスパラガスを利用した経緯】
なぜアスパラガスを利用したかというと
日本ではある時期になると、イタリアは
ヴェネト州エウガネイの野生アスパラガスが
出回ります。
その野生のアスパラガスの味がかなりよく、
トウモロコシの様な芳香で味が濃く苦味が一切ないため、
栽培したかったのですが苗が手に入りませんでした。
苗が手に入らないなら野菜として販売されている
ものから細胞を培養してしまえば良いじゃないか!
と天才的にひらめき、培養を試みました。
【ヴィトロプランツとは、家庭でもできるバイオテクノロジー】
ヴィトロプランツとはオートクレーブや
クリーンベンチなどの設備がない家庭でも
植物の組織培養を行えるキットを
販売している会社です。
仕組みとしては塩素を培地に添加して
雑菌が少し入っても殺菌されるように
なっている感じですね。
一昔前にランの種子繁殖の培地に
漂白剤を少し入れるのがはやりましたが
それを少し発展させた様なものです。
初回は無料お試しキットがあったので
試すのに丁度よかったです。
ただわりとコンタミするので
狭い空間を殺菌した部屋を用意して
その中で作業をするのがおすすめですね。
トイレとかを次亜塩素水とアルコールで
消毒しまくって無菌に近づけるといいかも
知れません。
【ヴィトロプランツキットでの培地の作成】
ヴィトロプランツの培地の作成は
計算されて袋に分けられており、
水を計量して沸騰させ粉をいれ、
撹拌して冷やすだけなので
寒天ゼリーを作る要領で簡単でした。
はじめは透明ですがそのうち白くにごり、
最終的には水分がゼリーと分離していくので
培地の寿命は3ヶ月と考えて良いでしょう。
はじめたのが5月で培地の寿命は8~9月の
間でした。夏の暑さや日差しも培地が傷む
原因の一つだと思われるので、直射日光は
避けカーテンのレース越しなどの光がベスト
かも知れません。もちろん植物育成ライトが
あれば完璧だと思いますが。
【ヴィトロプランツで培養するアスパラガスの組織片を取る】
アスパラガスを利用するにあたって
数々の論文やらサイトやらを参考にしましたが
輪切りでも芽が出るとの表記を見つけたので
茎頂以外に輪切りも用意しました。
輪切りは簡単でしたが茎頂培養は成長点を
採取する必要があるので少し時間がかかりましたね。
2mm以下の成長点の成長がよく0.8mmくらいが
良いとのことだったので非常に細かい作業でしたね。
アスパラガスの成長点は苞に包まれているので
苞を剥がし、突起部分の先端を集める形になります。
【ヴィトロプランツキットの植物の殺菌時の注意】
ヴィトロプランツのキットには
殺菌用の薬品がいくつかあり
道具を殺菌するためのもの、
植物を殺菌するためのもの、
培地の殺菌のためのものが入っていました。
培地に添加するためのものは
入れすぎると細胞が成長せず
組織片が白く変色するので
用法用量を守って正しくご利用下さい。
植物を殺菌するためのものは
決まった時間組織片を漬け込む
のですが、完全に水には溶けないので
20分ごとくらいに振るとよいかも知れません。
とはいえ茎頂培養は組織片が小さいので
殺菌剤への漬け込みは5分程度にとどめました。
【ヴィトロプランツの培地に組織片を安置する】
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培地が傷んで来ると水分で培地から流れてしまうので
ギリギリまで1つの培地を使うなら
組織片を半分培地に埋め込むようにすると良いかも
知れません
ただ茎頂培養の場合は組織片が小さいので
セオリーどおりに細胞を培地に切り込む
感じで置いていくと良いでしょう。
アスパラガスは根も大切ですが
植物は自体は縦に伸びるので
ある程度培地が入る縦長の容器
が良いのではないでしょうか?
【ヴィトロプランツ培養の結果】
ヴィトロプランツを用いた培養の結果は
思っていたよりも簡単で成功率が高く思われました。
小保方さんではありませんが植物にとって
万能な細胞であるカルスの形成について
輪切りのものと茎頂培養のものとの差異が
ありました。
輪切りのものは芽は伸びますが、カルスが
形成されないので根が出ず何かしら
ホルモン添加が必要かも知れません。
茎頂培養の方は1mmくらいだった組織片が
カルスを形成しながらどんどん大きくなり
養分を貯蔵する白色根も形成されたので
一応成功と言えるでしょう。
【今後のアスパラガス培養にあたって】
今後アスパラガスを培養するにあたって
輪切りはなかなか成果が悪かったので
メリクロン一択でいこうと思います。
アスパラガスは貯蔵根が出来ても
鱗芽群が形成されなければ冬を越せず
形成には6ヶ月かかるようなので
今後は2ヶ月に1度培地を交換し
培養していくのが得策と思われる。
【終わりに】
ヴィトロプランツの培養キットは
かなり使い易く、初心者でも問題なく
利用出来るでしょう。
ただ今回のエウガネイ産アスパラガスは
鱗芽群形成前に出してしまったので
おそらく冬を越せないかも知れません。
貯蔵根の形成&鱗芽群の形成がアスパラガス
培養のキモですね。
比較的安価なキットなので
また来年余裕があれば試してみようと
思います。

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