マイソールラズベリー
Rubus niveus
ブラックラズベリーと言えば
ブラックキャップなどで知られる
Rubus occidentalisが一般的ですが
これとは別の種類
ブラックキャップなどのブラックラズベリーは
暑さに弱く、酸性土壌向きの植物でアルカリ性土壌だと葉緑素を作れず枯れることが多い。
とはいえ日本の土壌にはわりと合うので
地植えなら日当たりさえ確保出来れば
栽培は簡単である。
関東以北であれば暑さもそれほど問題はないが
九州以南だとある程度の工夫が必要かもしれない。
サッカーを出さないため、茎頂を土に埋めて発根させて取り木の形式で増殖する。
マイソールラズベリーは
トロピカルフルーツに分類されるほど暑さに強く、熱帯性のキイチゴで寒さに弱いとされる。ただ、ここ東京では無加温で越冬し、冬も常緑で休眠せず少しずつ成長していた。
まぁリュウキュウバライチゴなど国内の熱帯キイチゴも同程度の耐寒性があるのでそれほど寒さに気を使う必要はないかもしれない。
前情報では果実が小さく酸味が強いとのことであったが、実際には果実はブラックキャップよりも二回りほど大きく、糖度は15.6とマスクメロン並みであった。
果実の香りはラズベリーというほど華やかさはなく、クワの実の様に優しい香りがある。
甘味が強く、酸味が少なく、クワの香りなのでモミジイチゴにほとんど近い味わいである。
ただしモミジイチゴとは異なり果皮が厚めで完熟でも果実に硬さがあるため長距離の輸送にも耐えうる可能性が高い。
ブラックラズベリーは日本のクロイチゴも含め総じてトゲが鋭いが、マイソールラズベリーもワタリガニ並みのトゲの鋭さを持つ。
葉の形は三出複葉の他のブラックラズベリーたちとは異なりバライチゴのように複数の複葉からなるが、丸みを帯びてキミノヒマラヤキイチゴに近い。
花は日本のクロイチゴに似て赤く短い花びらが半開きで咲く、まぁ、クロイチゴよりはまともに開くかな。
おそらくブラックラズベリーとは少し遠く、クロイチゴと先祖を同じくするが、多くが紺色であるクロイチゴとは異なり完全に漆黒である。
派手な香りが無いこと、トゲが凄まじいこと、寒さに弱いことから、香りが派手でトゲがなく、寒さに強いが暑さに弱いグレンシリーズのラズベリーと交配した。
小苗でも果実を付けシリーズで最も汎用性が高いグレンプロセンと、果実が大きく糖度13程度で味が良いグレンアンプルを交配した。
つづいてラズベリーのようなケミカルな派手さはないが、エレガントなストロベリーフレイバーを持つクサイチゴとカジイチゴのハイブリッド(通称クサカジ)を交配した。
クサカジはトゲがあるが糖度17まで上がるほど糖度が高く、増殖率も高いのでラズベリー系統があまりにも糖度が低く増殖率が悪かった際の交配候補として作っておく。
3果だけだがクマイチゴとパープルフラワーリングラズベリーRubus odoratusとのハイブリッド
識別名モモクマとも交配してある。
モモクマは果実よりも花が美しい個体だが
優勢遺伝するトゲ無し遺伝子を持つ。