天才!?マッド菜園ティストHI-Dの生活

皆さんご存知マッド菜園ティストHI-D先生のマッドな品種改良を記録していく場です。まぁまぁ頑張る!

国産野生木苺を用いた日本初のイエロー&パープルラズベリー

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近年日本でもラズベリーと木苺の交配種がわずかに出回るようになってきたが、どれも"一応"国産木苺を使った程度のものばかりで大した品種はない。


むしろヨーロッパキイチゴとは全く関係のないキイチゴをラズベリーとして販売しているものも見受けられる。







確かに広い見方をすれば花托から果実が分離できるものをラズベリー、それ以外はブラックベリーという定義が浸透しているが、ブラックベリーの名前がつくものの中にも赤実で果実が花托から分離するものがある。


さらに木苺類は香りや味がそれぞれ異なるため、ヨーロッパキイチゴから遠縁のキイチゴをラズベリーとして販売してしまうと、ラズベリージャムやケーキ、パイなどを作ってもいわゆるラズベリーを利用したものとは全く違う仕上がりになるだろう。


そのため、ヨーロッパキイチゴに近縁なキイチゴを利用した場合にのみラズベリーと呼び、他は海外に準じてブランブルなどにすべきである。



今回ご紹介するものはれっきとしたヨーロッパキイチゴ(ラズベリー)を母に、国産野生キイチゴであるハチジョウクサイチゴを父に利用したハイブリッドラズベリーである。



少しキイチゴに詳しい人間であれば知っているが、国産キイチゴの中で最も糖度が高いものがカジイチゴである。
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そのカジイチゴに近縁で赤実、カジイチゴの様に5出掌状複葉だが3出掌状複葉が多く混じるためシマミツバキイチゴとも呼ばれる。
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今のところ糖度16に達することが確認出来ているため、マスクメロンと同等の糖度である。








そして全国に分布するクサイチゴとカジイチゴの雑種とされるだけあり、暑さや病気に強く他のキイチゴよりもアルカリ性土壌に強い。

さらにほとんどトゲ無しで葉裏にのみ小さなトゲがある程度である。





今回利用した個体特有の特徴として、挿し木成功率の異様な高さがある。他のキイチゴ類はラズベリーを含め挿し木の難易度がやや高いが、このハチジョウクサイチゴは6本挿し木して6本根づく。









母親に利用したものはスイスのラズベリー
ヒンボートップで、花期が異様に長いオータムブリスの子である。

国内ではラフザックの名前で品種登録されており、海外のパテントも切れていないようだが、

農林水産省に問い合わせた所、育種への利用には問題ないが当人同士の契約で禁止されていればその限りではないとのこと。

はじめに天香園で購入した個体は根が少な過ぎてすぐに枯れてしまったので、仕方なく国華園で再購入し交配に利用した。

国華園から販売される際にそういった契約はなかったので、育種に利用することとした。









まずはじめに紹介する個体は、イエローラズベリーの識別名ミカンである。
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元々背が低い個体だったため予備にしようと6号鉢で栽培しており、さらに半日陰だったためか生育のおくれていたため1果しか咲かなかった。

しかもヨトウムシに果実が齧られてしまい、一部粒と花托が欠損していた。

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しかし、プリモケーンに開花したため2季なりであることが確定し、背の低いうちから開花したため花着きは良い方なのだろう。

父親は葉裏以外トゲ無しだが、この個体は弱いトゲが沢山ついているためトゲありである。

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ただ果実が黄色で珍しく、糖度が11あったため十分に生食用でも素晴らしい。完熟前に台風で落下してこの糖度なので、虫に食われず、台風もない春にはさらに糖度が高まるだろう。

ちなみに流通している生ラズベリーはドリスコルなどを含めどれも糖度1桁である。




この個体の優れた点は
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株を増やすためのストロン、つまりサッカーが異様に多いことで、1ミリくらいの根からも新芽が伸び始めていた。


小さなうちに株分けしたが、11株切り出して8株生き残った。

通常、どのキイチゴでも開花1年目でこれだけ増殖することはない。

まだ親株につけっぱなしの個体が4株あるため、それを含めるとさらに異常な増殖力である。










もう一株はパープルラズベリー
識別名オジサン

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両親どちらにもパープルの要因はないと思うが、なぜだかこの個体はパープルになるまで濃く色づいた。


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花が多く、着きすぎた分は勝手に生理落下するので省力品種になるかもしれない。

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はじめの房はすでに収穫したが、また新しい蕾が伸びている。おそらくだがヒンボートップやオータムブリスのように四季なりに近い型になるだろう。

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今のところ1本立ちでかなりの背丈になっているが、シュートが複数出るタイプではないので増殖率が心配。

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残念だったのは糖度がドリスコルの生ラズベリーと同じ程度だったこと、ただ遮光栽培し、初成りでたくさん果実をつけ、さらに2本の新しい房がのびはじめていたのも原因かもしれない。

春の果実に期待ですね、新しい房は絶滅危惧種のシマバライチゴと花期が合いそうなので交配実験をしてみよう。


この個体最大の特徴はトゲが退化しており、ほとんどトゲが無いこと、下から3節目の茎は剛毛だが、それより上はトゲ無しと言っていいほどトゲが退化する。

茎の途中でトゲが出た場合でも0,3ミリくらいで刺さる事はない。


根元に毛があり、上部はツルツルなので
スネ毛が濃く、頭がツルツルなオジサンのような個体である。


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課題は識別名オジサンの増殖方法の確立と、識別名ミカンの収穫量増加ですね。


果実の色だけでも価値のあるこの2系統が無駄にならないようにしていきたい。