おはこんばんちわ
コロナウイルスのおかげで退屈著しいのでブログを更新することにしましたおめでとうございます。
前回は自家製で出来るチーズもどき"蘇のまんまグラナ"の記事を書きましたね、ちなみに蘇という古代日本で造られていた牛乳を煮詰めただけの物体を元に
グラナ系チーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ、グラナ・パダーノ)などと同じような熟成の仕方をすれば、グラナ系チーズの代替品が簡単に作れるという話しでした。
グラナ系チーズが茶色いことはないので、テフロンの鍋で白く綺麗な蘇を作る方が良いと思いますが、どうしても茶色い蘇しか作れなければそれでも多分味は変わりません、そのへんは勝手にして下さい。
おっと失礼話しが脱線
今回は生ハムの作り方でしたかね。
ちょいとネット上にみられる生ハムの作り方を検索してみると、吸水シートなるものを利用した生ハム?の作り方の記事が沢山でてきました。
吸水シートってなんぞや、そんなんいらんわ
コンビニ生ハムみたいな味になりそう。
もうちょい深く検索していくと、小麦粉とスパイスを混ぜたパテを肉の表面に張り付け、燻製するやり方が出て来ました。
まぁ、ハモンセラーノ型の生ハムが好きならそれでいいのかもしれない。
僕は嫌いです。
そんな生ハムはグアンチャーレの代わりにカルボナーラに使ってやります。ジェノベーゼのトッピングにのせるのも良いですね。
生ハム好きからすると人工的に香り付けをしたものはあまり本物と呼びたくない。肉が熟成して生まれるナッツのようなあの香りこそが生ハムの香りとしてふさわしい。
ということで僕のご紹介する生ハムはプロシュート型の長期熟成生ハムです。
オーバーシュートではありません。
先に言っておくと8ヶ月かかります。
要約すると
昔々、あるところに豚肉がありました。
豚肉は塩の中でしばらく眠り、次に朝シャンしようと思いお風呂に入ったらそのまま寝てしまいました。
起きた頃には塩がだいぶ抜けてしまいましたが、豚肉が体を乾かして皮膚に脂を塗って昼寝をしていると、体中が白い雲に包まれました。
あまりにも雲がモクモクするので、豚肉は一度油で体を洗いました。
しばらくすると雲がまた現れ再び油で体を洗いました、それを3度繰り返す頃には豚肉は生ハムになっていました。
めでたしめでたし。
つまりこういうことです。
必要なものは豚肉(もしくはイノシシ)、塩、脂(ラード)、油(オリーブオイル)、水
これだけです。
吊るすためのネットがあると良いですね。
ちなみに豚肉はメキシコ産の1kg900円くらいの激安豚でも美味い生ハムになります。
アグー豚は脂身の香りが良く、生ハムの脂身が好きならアグー豚がオススメですがバカ高いです。
というわけで一番のオススメは赤身部分の旨味がダントツのイノシシですね。
秋イノシシのメスが最高ですね、地方でイノシシ肉を肥料に利用するというバカな試みが恥じまったりしているようですが、そんなにいらないなら僕に下さい。
イノシシ生ハムのブランド作りましょう、僕は生ハムの作り方教えるだけですが人気が出たらインセンティブ下さい。
脂はラードが最適ですが、イノシシや豚の脂身を弱火でじっくりソテーしていくと、肉から脂が抜けるのでそれを利用することができます。
牛ひき肉からとった脂でも同じように利用できます、表面に脂を塗るときは溶かして塗りましょう。
多く出来たら冷やしてカットして冷凍保存が可能です、料理用油として利用可能。
脂を塗らないとプラスチックみたいにガチガチな干し肉が誕生します。これはこれで鰹節みたいに削って食べると美味いけど。
さて、面倒くさいですが作り方を説明していきますか
①塩漬けにする
まず大量の塩に漬けます、たとえ家畜であっても動物の肉には寄生虫や肝炎ウイルスなどがサービスとして付属しています。
刺身で食べられることが多い鹿肉や馬肉が感染源になることが多いようですね。
そういったいらない付属品をぶち壊すことと、雑菌を防ぐためにここで塩をケチらない方が身のためです。
塩漬け期間は1週間ほどで大丈夫ですが、心配なら好きなだけ漬けて下さい。
②塩抜き
赤肉のイノシシやイベリコ豚はそれほど変わりませんが、桃肉の普通の豚は塩抜きすると灰色になりThe死体って感じになります。
ただ熟成後には普通の生ハム色になるので問題ありません、のーぷろぶれむです。
塩抜きが味の決め手なので、イベリコ生ハムのように塩気が強いものが好きな場合は1週間程度、プロシュートのように塩気が少ないものが好きな場合は一ヶ月塩抜きしますが、1週間に一度水を取り替えて下さい、水がそのままだとあまり塩分濃度が下がりません。
塩抜きに酒を使うという発想を持つ人がいると思いますが、どうしても使いたい場合にはブランデーやウイスキーなどの蒸留酒にしましょう。
ワインを使うと酸っぱくなるし、日本酒を使うとパンみたいな香りが着きます。
③干す
先ほど説明した気がしますが、軽く陰干ししたら表面に溶かした脂を塗り付けます。
夏に暑い場所だと豚肉から脂が溶けだしますが、表面にラードを塗っておけば溶けにくいです。植物性油だと脂が通り抜けてしまいます。
乾燥を防ぐ能力もラードの方が良いですね。
湿度は普通以上にいらないので、できるだけ夏に涼しい場所に吊るしましょう。
ちなみに僕は吊るす場所にこだわりがないので色んな所に吊るします。
④カビつけ
カビつけとは言っても特別なことはしなくとも勝手に愉快な仲間たちがやってきます。
白カビ、青カビ、茶カビのどれかがつくのがベストですね。
ちなみに白カビもペニシリウムの一種なので青い胞子を出す場合があります。
よくつくカビは始めは白い点のような形で現れ、次第にカビ状に変化するもので、カマンベールチーズのような香りを持ちます。
カマンベルティの近縁種かもしれませんが、チーズほど綺麗なつき方はしません。
青カビもかなりの確率で現れますが生ハムの表面がうっすらゴルゴンゾーラの香りになります。ブルーチーズが苦手な人は表面を削いで食べると良いですが、そもそも生ハムは表面を削いでから食べるものです。
そう考えると白カビの方が良く感じますが、熟成後の旨味の強さは青カビの方が強い気がします。
こうした白カビや青カビなどのペニシリウム属菌は表面にしかつくことはなく、表面を覆って雑菌を防ぐ能力もありますが、黒カビは内部に侵入して苦味の強い毒性物質を生成するので、黒カビは直ぐに拭き取りましょう。
黒カビは湿度が高すぎると発生します。
茶カビはそれ自体が繁茂することは少なく、他の種類と混じって少しだけ現れる感じですね。
茶カビが生えると出来が良くなるとも言われるようです。
⑤カビ熟成
カビが生えて2ヶ月ほどすると全体的にカビるんるんしてきます。
そしたら調子に乗ってるカビ達を一度オリーブオイルで洗い流し、再び表面に脂を塗って吊るします。
このカビを生やす→カビを洗うを3度繰り返すと完成です。
完成するとナッツのような熟成香がただよいはじめるので、すぐに分かると思います。
はじめる季節は2月がベストですが、いつでも出来ないことはありません。
ハエがいないがカビは生える環境がベストですね。
まぁ、別に僕のマネをする必要はありません、好きにやって下さい。
使えばいいじゃないですか、吸水シート。
この作り方が最も美味い生ハムの作り方であることには変わりありませんが。
ちなみにプロシュート型なのでカンタロープメロンとよく合います。
生ハムメロンは本来プロシュートとカンタロープでないと成り立たない物なので、高品質なカンタロープがてにはいる人は試してみると良いでしょう。
日本では「ヨーロッパのメロンは甘くないから生ハムと合わせる」「甘くないメロンを生ハムと合わせる」などと紹介されることが多い生ハムメロンですが
ヨーロッパのカンタロープは糖度13~14には達するので十分甘いです。
ガリアタイプのレティクラトゥス種であるアールスメロン(いわゆる日本でいうマスクメロン)は糖度17にも達することがありますが、実際には15内外がほとんどです。
カンタロープの特徴はカットする前から凄まじい甘い香りを持つこと、赤肉であることです。
全ての赤肉メロンはカンタロープの子孫ですね。
生ハムメロンは凄まじい香りのカンタロープと、ほどよい塩気とナッツの香りがあるプロシュート
この2つが合わさってはじめて美味しい料理になります。
ちなみに画像はイタリアのゼルビナッティ家のカンタロープ"ジョリーメロン"とアグー豚で自作した生ハムです。
そして生ハムメロンが始まった理由はメロンの品質的な問題ではなく医学的な理由です。
古代ヨーロッパの医学では、メロンは体を冷やす食べ物とされており、メロン好きの王の死因がメロンの食べ過ぎと診断されたこともあるそうです。
そうしたメロン死を防ぐために、体を温める食べ物とされた生ハムと合わせるようになりました。
信じるか信じないかはあなた次第です。